続く次の5年へ

冒頭から突然ですが、ホームページもオンラインもまっさらにしてみました☺

angersを立ち上げて約5年。

今だから言えるわざわざ立ち上げた理由。

私の息子は１歳半で「自閉スペクトラム症」の診断を受けました。母としてそれまでにもずいぶんな心当たりはあったので、診断を受けた時は第三者にも理解してもらえ受け入れてもらえたような、安堵した感覚だったのを覚えています。私は可能な限り彼に合った環境を探しました。そしてそんな子供たちへの支援が手厚いと認識していた公立の保育園に入園させたいがために、起業したのが事の始まりです。まずは子供の園生活と療育を優先に、空いた時間をお花の制作に充ててきました。

私がこれまで勤めてきた会社は、生花中心で、出始めから世間の注目が高かったプリザーブドフラワーは時折注文が入れば作る程度で、ホテルやチャペルの装花、撮影のお仕事でアーティフィシャルフラワーを使うことがあってもあまり主として考えたことはなかったです。

十数年前、沖縄でお仕事をしていた頃、温湿度が高いことで花持ちが悪いことから、当時一緒にお仕事をさせていただいていた花卸しの社長さんとアーティフィシャルフラワーの提案をしようと徐々に手を付け始めるようになりました。でも一般小売りではせいぜい仏花止まりで、造花と言ってしまえばそれまでですが、「アーティフィシャルフラワーってなに？」と言われるのが常。そう!そもそも認知度が低い💦
なんとか品質の良い花材で、ただの造花と言われないクオリティの高い製品を作り提供できないかと思案してきました。

生花がもたらす安らぎや癒しという効能はそのままに、生花のデメリットでもある命の期限（花持ち）、香りがあることの良し悪しなどを補う存在のモノが求められているのではないか。

ここ数年、インスタグラムなどのSNSでブライダルブーケや撮影セット、店舗や、一般家庭でも気軽に飾れてなんだかおしゃれなイメージを定着させてきているドライフラワーも生花と並ぶように需要が増えてきたように思います。

そんなこんなで私の勝手な見解もありますが、様々な立地での生花店での経験からも、回転率の期待できない店舗での生花の在庫をかかえるしんどさは身に染みてわかっていたので、いざ自分で始めるときは、アーティフィシャルフラワー、プリザーブドフラワー、ドライフラワーといった比較的花材の長期保存ができるもので、基本受注制作でやっていこうと決め、手探りのWEB販売の始まりとなりました。

就学後は無理だろうと、会社としては卒園までの4年間。

いつかまた生花の仕事に戻れるように、その時に手が動くようにと、トレーニングのようなリハビリのような意味合いもあり．．．普通に働いている人には申し訳ないですが、私にとっては人の手をさほど借りず、子育てと家庭と仕事を回すのには一番効率の良いやり方でした。

ただ誤算は辞め時を逃したこと(笑)

ずっとずっと無駄なく売ること、在庫を捌くことが癖というか当たり前としてきて、自分の好みに偏れば必ず失敗すると、自分をコントロールし、世間の８割の人に受け入れてもらえるもの、つまりは万人受けするものを意識して作ってきました。

そして気づけば主体性のないモノづくり、何も伝わらない画面になっていました。

たくさん迷いましたが、何重もの失敗を積み重ねてもなお続けてきたのだからもうあえて自分にしか出来ないものを作ってもいいのかもしれないと、潔く開き直ってみようかと今頃になってようようと思い直すことができました。

今も先は全く見えていませんが心だけは前向きです☺

「60歳になった時、40歳に戻れるなら何をするか」

どこから入った言葉か思い出せないのですが、ずっと頭と心に残っていって．．．

きれいごとだけでは生きてはいけませんが、自分を誤魔化さないように、上手くいくこともいかないことも納得して進めるよう努め続けることを今は大切にしようと思っています。

2歳で小さな社会への仲間入りをした息子も、恵まれた環境と関わっていただいている方々の手厚い支援を受け、学校が大好きな小学２年生になりました。

小学校は少人数の学校を選択し全校21名、みんなで給食を食べ、お昼休みにはみんなでドッヂボールをするようなとてもアットホームな学校です。複式学級、昨年は1年生3人、2年生4人、全員男の子のクラスでしたが、今年は5人の1年生が入学し、うち３人が女の子。クラスに女の子がいるとこうも落ち着いて見えるのかと、先日の参観日で感動してしまいました。

まだまだ泣きながら笑いながら、時にケンカもしながら親子ともども絶賛成長中です。

これまでの5年間より、先に続く5年のほうが明らかに時間に追われ心と体がバラバラになる気もしていますが、きっとあっという間に過ぎていくんでしょうね。そうして10年後には元に戻れるのではないかとうっすらと期待もしています。

時代に沿っているかといえば完全にいつもアウェイで緩やかさだけが加速するangersですが、長い目で温かく見守っていただけますと幸いです。

しばらくは殺風景な画面ですが、変わらず心を込めて、丁寧に制作していきますので、これからもお付き合いの程どうぞよろしくお願い致します。

angers

若林裕子