連続する不調和

梅雨真っ只中、蒸し暑さの続く毎日ですね。

最近はスコールも多くて、実際に感じる環境変化は人間の一生より長い時間をかけて起こるものと勝手に思っていましたが、生き急がされるように常に何かに掻き立てられるような感覚は歳を重ねるごとに強く感じるようになり、人間の私はというとせっかっちなのか、前世では早死にしたのかついつい追い込んでしまい、落ち着きのない性分は子供の頃から全く変わらず困った大人になってしまいました。

目に見えないものにつけた言葉、上下、右左などの空間をさす言葉、さらにもっとうやもやに比喩した斜め上だったり、うれしい、かなしいといった感情を表す無数の言葉、さらには空気を読むといった、仙人に近い思想のようなものなど、日本人や日本語には目に見えないものをひどく大切に重んじる品性があると常々思っていて、その枠の中で自分もゆとりのある時は楽しみ、そうでないときにはそれこそ厄介だと感じ、結局は言葉探しも、人付き合いも‟真面目に遊ぶ”がぴったりと収まる言葉だなと人知れず思っています。

価値観ほど自分勝手なものはなく、潜在的な能力に育った環境や経験で仕上げられた、言葉にすればまさに表と裏のしくみ。これは人に対しても、自分に対してさえ物事の流れを妨げる煩わしいものだったりするのですが、人との距離が近ければ近いほど、いかんなく発揮されてしまい、器用に立ち回ることができれば間合いを取るか、そうでなければぶつかり突き抜けるか、選択と結果は必ずしも納得のいくものとは限らず、相手がそもそも大切にしているものに気づき認め尊重しない限り歩み寄ることはできないもの、人との隔たりを改めて認識するものに過ぎないのかと思います。

相性が良いとはつまりは大切にしているものが近しいという意味なのでしょう。家族であったり、お金であったり、時間であったり、お互いに重んじていることのかさなる面積が大きければ、少し楽な関係が築けるのかも知れませんね。

コロナが表面上終息に向かい、人との交流が戻ってきた最近はしばらくぶりにそんなことを考えることが多くなりました。

そこに存在する意味と役割

フラワーアレンジメントと呼ばれるお花をオアシス（給水スポンジ）などに挿すという装花方法。お花屋さんでギフトなどの商品として売られていたり、舞台や開店お祝いのスタンド花だったり、会場のディスプレイにしかりおそらくよく目にするお花の飾り方、空間の彩り方ではないかと思います。

私自身は大きいものを制作するより、枠が小さければ小さいほど神経を使い細やかな作業をしていて、お花の配置、アップダウン(上下の振り幅)はミリ単位で全く違った見え方になりますし、傾き加減で角度が変わり全体のフォームにも影響が出ます。

私はお花の資格のようなものは何も持ってないですし、おけいこというようなものも大してしてきていません。

これまで勤めてきた会社では技術面でわざわざ教育をうけることもなかったので、現場で関わってきた人たちから学び、経験を積んできたことだけで今に至ります。

自分でどうにかするしかない場面も多かったので、きちんと習ってきた、教育を受けてされているフローリストさんや作家さんたちから見ればびっくりなこともいっぱいあるのだろうと思いますが、私にあえてアップダウンを見せてくれた先輩スタッフさんの手先や、知らず知らずのうちに築き上げてしまっていた壁をぶち壊していただいた瞬間は今も私の中に生きていて、何にどんなものを挿しているときも大切にしている手法の一つとなっています。

花材を殺さないよう、それぞれの個性を発揮させれるよう作ってはいますが、見えない影の部分にもお花は存在していて、殺しているのではなく正しくは必要としてそこに留まってもらっているという表現がしっくりくるような気がします。

人をも含めすべての世界がそうであるように、いろんな役割、立場があって形作られる世間という枠の中で、居場所を定めることは自然なことであり、必然的なことでもあります。

命を扱っているからこそ、なんだかんだ言葉で飾られた理論より、ただきれいだなと思う感性に忠実に生きたモノづくりを目指したいと思います。

日の当たらない場所にも存在する息づかいを感じてもらえるように．．.

【ドライフラワー　フレーム（ウタ）】

ウタ、詩、歌．．．言葉と息づかいそして目に見えない余韻という空気感をまとって届きますように．．．